うたごえ新聞 2014年1月20日号から | |
幕があくと同時に、「うたごえよ明日のために」。 明るくさわやかな歌声が会場を満たしました。 口の開きが美しく、まっすぐに言葉が伝わってきます。 生き生きとした合唱に、心をつかまれました。 指揮、安達陽一氏の丁寧な音楽作りにより、表現力に富んだ、あたたかい響きの男声合唱「津軽平野」、女声合唱「童神」もまた魅力的。 前半は照明も抜群の効果でステージを彩っていました。 休憩前は、和太鼓南舞による「花筐」。 筆者は和の楽器が非常に好きなので、和太鼓の力強い響きと、子供が顔を紅潮させながら一生懸命演奏する姿に、かなりぐっときました。 後半はクラシカルな装いで、南部合唱団がともに歩みながら支援を続けるJAL原告団、合唱団フェニックスを中心に、地域の仲間も加わったステージ。 原告の一人飯田雄三氏が作詞、合唱団メンバーの創作曲「誇りある道」を、闘いに勝つまでと強く訴えかけます。 そして、コンサートのテーマでもある憲法前文と憲法第9条を、朗読(松尾信彦氏)つきで歌いあげ、創立55年という、南部合唱団の骨太の主張を、存分に味わうことができました。 ただ後半は疲れもでたのか、高音の音色が硬いところがあり、課題かもしれません。 合唱を支えるピアノ(中瀬千央さん)は、テンポ感抜群で音楽の流れを自然に作っており、彼女のピアノを聴くことができるのは、コンサートの楽しみが増すと言えましょう。 全体として、どの曲も歌詞がよく伝わり、毎年一回というペースでコンサートを開いている合唱団ならではの、ステージ構成の絶妙さを感じました。 舞台に集中したり、客席と一体となったり…。 信念を持ち、筋をとおしながら、地域でいつもそばにいる、そんな合唱団なのでしょう。 長久真実子(合唱団この灯指揮者) |